日本が作った世界最大の望遠鏡がハワイにあります。赤い眼を持つ おうし座に見られる星団と同じ名を持つ「すばる」です。みなさんもきっと、おわん型ではない円柱の最新型ドームを、テレビや新聞で見たことがあるでしょう。宇宙の果てまで見たい、という思いで作られたすばる望遠鏡は、昨年128億光年もの彼方からの光を私たちにみせてくれました。
この本の冒頭にあるカラー写真の、すばるがとらえた天体の数々は、まるで宝石箱のようです。前半では、これらの今まで人々が見たことのない、宇宙のすがたをおしえてくれます。すばるは眼に見える光と、天体の温度を知る赤外線をとらえることができます。その赤外線によって、天体の動きがわかり、ブラックホールなどの眼には見えないものの観測ができるのです。
後半には、ハワイでの天文台の建設と、8,2mの直径の鏡をはじめとする大切な部品や、複雑な観測装置がそれぞれ専門家によってどのように作られていったかという話が書かれています。
すばるは完成した後でも、夜に最適な状態で観測ができるようにと、昼のあいだに調整を行ったり、新しい観測装置が取付けられたり、多くの人たちの力で動かされています。そしてその観測データは、世界中の人々が利用することができるのです。高校の理科クラブでも使われるそうです。
この本を読んだ小中学生のみなさんは、もっと星のことを知りたい、そう思うことでしょう。高校生になったら、すばるのデータを使うことがあるかもしれません。楽しみですね。
科学読物研究会 津久井優子