中高学年から楽しめる美しい写真・イラスト図鑑です。
世界中で発見された隕石は、宇宙からきた小天体です。日本の隕石はもちろん、世界の代表的な隕石の写真は迫力満点です。大きさ・形・色も、成分も金属だけでできた鉄隕石から、岩石を含んでいるものまでさまざまです。近年の火星探査や小惑星探査による研究成果で、月や火星からの隕石、小惑星ベスタからきた隕石など、どこから来た隕石なのかを成分で特定できるようになってきました。また、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」のサンプルリターンで、小惑星リュウグウにはアミノ酸と液体の水があることも発見され、宇宙からきた隕石が地球の生命の原料になったという説もあるそうです。
昔から人々を魅了する彗星も、正体は「核」と呼ばれる小さな天体です。形はいびつ、軌道も小惑星とは違う歪んだ楕円で、太陽に近づくと熱せられた表面から塵やガスが噴き出します。この噴き出した塵やガスが、私たちに見える光=彗星の尾だと本書を読めば、実感できます。
過去には、巨大な天体(隕石)が落ちてきて生物の大量絶滅が起きたことがあると考えられている地球です。未来の地球への天体衝突を避けるため、探査機を小惑星にぶつけて軌道を変える実験(2022年に成功)も紹介されています。
鮮やかな彗星写真は圧巻で、見ても読んでも面白い内容でいっぱいです。パラパラ漫画のようにリュウグウの自転が見えるページ下部の写真もお勧めです。
(科学読物研究会 中村涼子)