岩崎書店の〈よみきかせ いきものしゃしんえほん〉シリーズは、日本に生息する小さな生きものたちの誕生や成長の様子を記録した写真絵本です。表紙をめくると、見返しの2頁で、タイトルの生きものがどんな場所に生息しているのかが一目で分かります(モンシロチョウの場合は菜の花畑です)。その風景のほとんどが、失われつつある日本の原風景です。
さあ、葉っぱの裏に産み付けられた小さな小さな卵から、モンシロチョウの命のドラマが始まります。孵化する場面は、写真ならではのリアリティと大画面の臨場感で見るものをひきつけ、生まれたばかりの命が日を追うごとに少しずつ成長していく過程が丁寧に記録されており、幼虫の体にはえている細かな毛の様子まではっきりと分かります(子どもたちが実際に手に乗せたアオムシをやわらかいと感じるのは、その毛があるためだったのです!)。
やがて、蛹から蝶へと変態を遂げたモンシロチョウは、ふたたび菜の花畑へ。朝、教室で、蝶と抜け殻を見つけた子どもも、この絵本で羽化の様子を知ることができます。言葉も厳選されており、読み聞かせにも向いています。
身近な生きものも、まだ出会ったことのない生きものも、興味を持ったときが「旬」!すかさずこのシリーズの絵本を読んでみることをおすすめします。
(科学読物研究会 久賀弥生)