今年の冬は、暖冬でしたね。本当に寒いと思った日はほとんどなく、2月から平地では蝶が舞っていました。地球の反対側のオーストラリアでは47度もの酷暑で、山林火災が発生して多くの被害が出ています。やっぱり地球は温暖化しているのか、それはどうしてなのか・・・そんなことを知りたくて、環境問題を、地球の仕組みから解説してくれる本書を手に取ってみました。
まず書かれているのが、地球にもしも二酸化炭素がなかったら、地球はどこでも、零下10℃よりももっと寒くなるということ。世界的に悪者にされている二酸化炭素も、決して「いつも悪者」というわけではなく、バランスの問題だったのです。今の地球の温度がどうして決まってきたのか、地球と兄弟の金星や火星と比較して述べられており、地球という星に生物が生まれてきた、奇跡のような偶然を感じました。
そして、地球上にある空気も水も、はるか昔に地球が一回だけ作ってくれたものだということ。それ以降、地球は一度も水を作ってくれてはいないそうです。それを考えると、今ある水と空気をどのように使っていくか、生かしていくかがいかに重要なことか。
また、温暖化という言葉から、寒く厳しい冬がなければ、どんなに生活が楽になるかというイメージもあります。でも、気温だけの問題ではないのです。例えば熱帯の地方で生まれた強い台風は、温帯に近づくにつれて海水温度で冷やされ、勢力が弱まってきます。ところが海水温度が高くなると、強い勢力のまま上陸して被害をもたらすことが増えてきます。アメリカではハリケーン被害は目を覆うばかりでしたし、日本でも最近大型台風被害が増えてきています。その裏にはこのような温暖化の影響があったのです。
私たちの立っている地球が今どうなっているのかを知ること、それが、環境をどうしていくかを考える時にまず必要です。その過程で、いろいろなところで発せられている環境シグナルが、一本の糸でつながってくるのではないでしょうか。
科学読物研究会 小川真理子