たとえばアンドロメダ銀河や太陽系の惑星など、カラーの美しい画像を見ることはできますが、それらはみな「切り取った」部分です。宇宙はあまりにも大きすぎます。ところがここになんと130億年の彼方の宇宙まで見せる「宇宙の地図」が誕生しました。
国立天文台の芝生の上に立つ著者ふたり。ここを地球の起点として、あたかも読者がそのまま急上昇していくように、ページをめくるごとにぐんぐんぐんぐん鳥瞰図となっていきます。10の8乗メートルとなると地球が空間にぽっかりと浮いているのがわかります。大量の水をたたえ、多くの酸素を含んだ大気をまとっているのは、太陽を回る惑星のうち地球だけです。太陽からちょうどいい距離に、ちょうどいい大きさで誕生したからこそのこの位置を考えると、畏敬の念を抱かずには居られません。
この46億歳の地球からの距離(10xm)の対数と赤経を基に、宇宙の地図は展開していきます。すべての画像に思索的な解説。大地図だけではなく、星座、星団、銀河などもズームアップしてその姿を披露してくれます。そのどれもが銀河鉄道に乗って車窓から見ているかのように幻想的で美しい。暗黒の宇宙空間でこのように美しく光を放っているのは、いったい誰に向かって語りかけているのでしょうか。もっとも古いものが、もっとも新しい—それを目の当たりにする「光で編む時空の地図」です。
科学読物研究会 高桑 弥須子