この本は、幼い子どもたちのための「かがくのほん」です。物を見るための鏡が、科学あそびの道具になることを、実際に楽しく体験することができます。
たとえば、自分では見えない自分の耳や背中は、鏡を使えば見えることに気づかせてくれます。のびのびと描かれた子どもたちが、いろいろな格好をしながら、そのやり方を見せてくれます。
また、本に書かれた左右反対の文字を鏡に映して読む、鏡に映る文字を真似して書くなど、頭では左右反対に映っていることが分かっていても、やってみるのは簡単ではありません。
半分だけ描かれた美しいチョウチョやフクロウの絵があります。そのページの線の上に鏡を立ててごらんとうながしています。鏡を揺らしながら見ると、不思議なことに、チョウチョの羽が動き出します。何度も試したくなり、見飽きることがありません。鏡を2枚、3枚と増やしていくと、またちがった実験ができます。本のページの上で2枚の鏡を動かしていくと思わぬ模様が現れます。潜望鏡の作り方も紹介されています。
子どもが「不思議だな」と思う気持ちを引き出す遊びが紹介されているので、その遊びや実験を大人が少し手伝えば、子どもはたっぷりと楽しむことができると思います。物を映すだけの鏡がこんなにも魔法のような力を持っていることに改めて感動します。初版は1978年、40年近く読み継がれてきました。図書館で借りて親子で楽しんでみてください。
科学読物研究会 樅木輝美