晴れた日に夜空を眺めると月や惑星を見ることができるでしょう。じゃあ、小惑星は?と言われると、これは難しいにちがいありません。歴史上、初めて小惑星が見つかったのは19世紀の始めのころでした。当時、火星と木星の軌道の間があきすぎていて星がないのは不思議だというので、星を探すことにしたのでした。イタリアのジョゼッペ・ピアッツイは1801年1月1日にケレスを見つけました。ケレスは初めは小惑星のひとつとされていましたが、小惑星としては大きくてきれいな球形なので、2006年には準惑星に分類されることになりました。ケレスが見つかった後すぐに、パラス、ジュノー、ベスタなどの小惑星が見つかりました。そして次々と見つかり、今では128万個以上も見つかっています。

ビジュアル探検図鑑
三品 隆司 著
吉川 真 監修
藤井 旭 監修
岩崎書店
2023年7月発行、4800円+税
こんなにたくさんの小惑星には登録順に番号がつけられます。パラスは2、ジュノーは3、ベスタは4というようにです。種類によって分類もされています。この本の表紙になっているプシケ(16)という名の小惑星は金属のかたまりでできていて、いかにも重たそうな色をしています。どうしてこうなったかというのは、もともと惑星になりそうだった星 (原始惑星) が、表面のマントル部分は吹き飛ばされ、核の部分だけ残ったと考えられているそうです。
小惑星の中で有名なものと言ったら、イトカワ(25143)とリュウグウ(162173)でしょう。日本の探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」がこれらの小惑星の石を取って持ち帰るという偉業を成し遂げました。イトカワとリュウグウの軌道は地球に接近することがあるので行きやすかったのです。はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウの石からは20種類以上のアミノ酸、それから塩や有機物、二酸化炭素を含む炭酸水も見つかりました。これは地球の生命の起源や太陽系の成り立ちを明らかにするための鍵になるそうです。
小惑星は火星と木星の軌道の間だけにあるのではありません。海王星の軌道の外にあるエッジワース・カイパーベルトと呼ばれている領域にもたくさんあるのが見つかっています。この領域やさらに遠い未確認のオールトの雲と呼ばれているところは彗星のふるさとと考えられています。彗星は小惑星とは違って尾を持っています。この本には、その美しい写真がいくつか紹介されています。池谷・関彗星、百武彗星、ヘール・ポップ彗星など、発見した人の名前がついています。このすばらしい写真を撮られたのは、この本の監修もされている藤井旭さんですが、残念なことにこの本が完成する前に亡くなりました。藤井さんはたくさんの星の本を書いておられるのでご存知の方も多いと思います。
本の後半は隕石の紹介です。隕石もいくつかの種類に分類されます。岩石でできている石質隕石、岩石と金属がまざってできた石鉄隕石、そして金属だけでできている鉄隕石です。世界で最大の隕石はナミビアのホバ隕石で、重さがなんと60トンを超えるそうです。農夫が土を耕していて発見したもので、約8万年前のものと言われています。日本の隕石も紹介されています。江戸時代に落下してきた米納津 (よのうづ) 隕石や田上隕石、他に170㎏もある気仙隕石などが国立科学博物館に展示されているそうです。こんな大きなものが落ちてきてさぞびっくりしたことでしょう。
6600万年前の白亜紀に直径10㎞もある巨大な隕石がメキシコに落下しました。その結果、生物の約70%が絶滅したといわれています。近年、地球に接近する小惑星がたくさん発見されているそうです。これらの小惑星が地球に衝突するのをさけるための議論が真剣にされています。その小惑星を捕まえたり、宇宙船を衝突させて小惑星を動かしたり、引力で移動させたりなどです。実際、はやぶさ2もリュウグウを移動させる計画があったそうですが予算の都合で実現できませんでした。
普段、目にする天体ではありませんが、太陽系の大事な一員として小惑星のことを知っておくのはよいかなと思います。この本はビジュアル探検図鑑とあるように、たくさんの天体の写真が載せてあり、ページをめくって見ているだけでも宇宙への好奇心がくすぐられます。
(科学読物研究会 森裕美子)
*科学教育研究協議会(科教協)が編集する月刊誌『理科教室』の2024年6月号から、許可を得て転載したものです。
*出版社によるこの本の紹介記事は、下記のURLからご覧いただけます。
https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b627536.html

































