目には見えない電気の存在をいくつかの実験で確かめながら、電気の本質に迫る本です。たとえば、ストローをティッシュペーパーでこすったり、アクリル定規を髪の毛でこすったりすると、静電気が生まれます。なぜ静電気が生まれるのか。それは、物を作っている原子の中にあるマイナスの電子が、ティッシュペーパーからストローへうつるからということを、コマ送りのような絵で、順をって説明してくれます。
また、電気を帯びていない割りばしが、ティッシュペーパーでこすったストローを近づけると動く理由も、割りばしの中のマイナスの電子が、ストローとは逆方向にかたよってしまうからということが絵で理解できます。
2600 年前のギリシャ時代、コハクを磨くと物を引き寄せることを見つけたときから、人と電気のかかわりが始まりました。またたくまになくなってしまう静電気から、電気を生み出すボルタの電池へ、さらに磁石と電気からモーターと発電機が生まれ、電気は今ではなくてはならないエネルギーになっています。その道筋に沿って、それぞれの仕組みが絵と子どもの理解のテンポに合わせた説明で紹介されています。電気のため方のページには、ノーベル賞を受賞した吉野さんが作ったリチウムイオン電池もかわいらしいイラストで描かれています。
(坂口美佳子)