分厚く立派な装丁ではありますが、単に道具と機械をならべたカタログといったものではなく、その形、働き、使い方を、物理学的な原理に着目して語る本です。
第1部の「動きのからくり」では力学を利用したもの、第2部の「水、空気、火の利用」では、エネルギーの利用を取り上げ、第3部の「波の働き」では光と音を、第4部「電気と自動制御」は電気と磁気、第5部は「デジタルワールド」と続きます。ですから、てこの原理を利用した自転車のブレーキと高所作業車といった、サイズや使用する場面で全く別物に見える物でも、同じ原理を使うものがまとめられていて、道具と機械の発明史としても楽しめます。全編通じて実験助手にマンモスくんが登場するのも、あり得ない設定でありながら違和感なく、むしろその登場を楽しみにしてしまうくらい…。
この本はなぜか男子に大人気です。ファスナーのページを読み進めると、自分の服のファスナーを見て、そうなんだ!と納得したり、どのページも問いかけしながら一緒に読むと、より深く考え、自分の身近にあるもののはたらきを感じて楽しむことのできる本だと思います。
とてもボリュームのある本なので、一時に読み進めるというよりは、図鑑を調べるように、気になった項目をその都度じっくり眺めて読むのがよいかもしれません。
科学読物研究会 二階堂恵理