わたしたちは衝突というとどうしても瞬間的な衝突である事故などを想像する。しかし、〈衝突現象〉ごく身近な運動である。この本では、その身近な衝突現象について楽しい話題をいくつも提供している。この本に出てくる題材は家庭や公民館などでも簡単に実験できるものばかりである。この本をもとに、子どもたちと身近な物理実験を楽しむこともできる。
最初は、バットでボールを打ったときの話、金槌で釘を打つ話、土木現場での鉄杭打ち込み等、瞬間の衝突の話がある。しかし、次の〈ダルマ落としの力学〉からは身近な問題が続く。討論も交え実験の仕方もくわしいので、みんなで体験しながら読み進めることができる。二つの小さな円板(コインなど)の衝突、バランスボールのなぞ、すっとびボール、スーパーボールの運動など楽しめそうだ。
昔の科学読み物をも参考にした楽しい読み物もある。力学も楽しい科学の世界であることをこの一冊で体験させてくれる。
科学読物研究会 西村寿雄