「〈電磁波を見る〉なんて難しそう」と思われるかも知れない。今までの常識から言うと〈電磁波〉などというのは,一部のマニア(アマチュア無線家など)でしか扱えなかった。しかし,近年はもう,生活のいろんな場で使われている。ラジオやテレビはもちろん,携帯電話や電子レンジ,さらにラジコンなど子どもたちの遊場にも登場している。この本は,〈電磁波遊び〉をしながら電磁波に親しもうという本である。
まず,第1幕「磁場と電場を実感しよう」では,ストローで静電気の実験などをしながら〈磁場〉や〈電場〉を実感する。そして,第2幕「電磁波の発見」へと続く。〈電気と磁石とは切っても切れない関係〉にあることがわかる。
おもしろい実験が入る。ふつう,アルミニウムは磁石に反応しない。ところが,磁石を急に動かすと一円玉も動き出す。では,アルミニウムの管を立てて,管の中に磁石を入れて落とすとどうなるか。また,アルミニウムの棒の上から球形の磁石を転がすとどのように転がっていくか。予想を立てて実験をしていく。そのあと〈電磁波発見物語〉へと続く。
電磁波は,意外といろんなところで発生していることを知る。第3幕はピッピポケベルを使っての電磁波実験である。〈電磁波はどのような性質があるのか〉〈電磁波はどのようにしたら効率よく飛ぶのか〉実験をしながら読み進めていける。最後に「テレビアンテナ物語」へと話が続く。〈電磁波〉とも仲良くなれる一冊である。
科学読物研究会 西村寿雄