◉1冊目『マンモスの謎』(あすなろ書房、1997)
ゾウの仲間であるケナガマンモスはかつて氷上で暮らしていたが、やがて現れた人類によって絶滅した。
100年ほど前に氷の中からマンモスの化石が見つかってから、当時の生活や狩猟の様子が明らかになってきた。昔から親しまれている名著。(西村寿雄)
◉2冊目『のんびりオウムガイとせっかちアンモナイト』(偕成社、2006)
人気の化石・アンモナイトと、「生きている化石」と呼ばれるオウムガイは、どちらもうずまき貝殻で見た目はそっくり。イカやタコと同じ仲間だが、大昔に起こった地球の大事件で明暗がわかれた。
勢力争いの結果、アンモナイトは絶滅したが、オウムガイは深い海に棲んでいたため生き残ったのだ。太古の海の様子が大胆な絵で描かれている。(西村寿雄)
◉3冊目『アンモナイトと三葉虫』(誠文堂新光社、2012)
たくさんの化石が残されているアンモナイトと三葉虫。この本では、さまざまな種類のアンモナイトの仲間たち、三葉虫の仲間たちを紹介。どんな特徴があるのか、大きな標本写真とともに詳しく書かれている。
この本を読んでから博物館や科学館で実物を見ると、化石の魅力をより実感できるだろう。(西村寿雄)
◉4冊目『ほうさんちゅう』(アリス館、2019)
「ほうさんちゅう」とは耳慣れないかもしれないが、海の中に生きているとてもとても小さな生き物だ。漢字では放散虫と書く。
ほうさんちゅうの骨や殻の成分はガラスと同じもの。顕微鏡で見ると複雑な形をしていて、とても美しい。ツノやトゲは千差万別だ。死がいが集まるとチャートという石にもなる。
はかなくも美しいほうさんちゅうの魅力を、大きな写真でたっぷり見せてくれる一冊。(西村寿雄)
◉5冊目『ながいながい骨の旅』(講談社、2017)
「骨がたどってきた、ながいながい旅の、おはなしです」とはじめに書かれている。
地球誕生の後に細胞のある生物が生まれ、その後、背骨のある生物が誕生した。これが約4億4400万年前のお話。それから魚が生まれ、陸上動物が生まれ、私たち人間につながっている。壮大な骨の物語。
お母さんのお腹の中から始まった、自分の骨にも思いを馳せてみよう。(西村寿雄)
◉6冊目『恐竜 骨たちは語る!』(玉川大学出版部、2013)
恐竜の食べ物や生活、体の特徴などがわかるユーモアあふれる図鑑。
それぞれの恐竜キャラクターが自分の言葉で思い思いに語っているので親しみが持てる。大きな挿絵も魅力で、恐竜が発見された年や場所、名前の意味、生きていた年代なども一覧できる。
年々進歩する恐竜研究に興味があれば、他の本と見比べてみるのもおすすめだ。(西村寿雄)
◉7冊目『まんが 冒険恐竜館』(新日本出版社、2014)
作者の伊東章夫さんは古くから科学や歴史のマンガを描いている達人である。この本は恐竜学者の真鍋真さん監修による冒険物語だ。
三人の子どもが、恐竜館にまぎれ込んでいろいろな恐竜に出会うことから話が始まる。恐竜の暮らしぶりが大胆に描かれていて、読者は三人といっしょに驚き、発見する旅ができる。(西村寿雄)
◉8冊目『世界恐竜発見地図』(岩崎書店、2017)
恐竜マニアのみなさんにうってつけの本。世界のどこにどんな恐竜がいたのかがわかる恐竜地図だ。
近年、恐竜化石の発掘はますます盛んになり、各大陸にこれだけの恐竜がいたのかと驚かされる。北極、南極大陸はもちろん、日本でもたくさんの化石が見つかっている。巻末の恐竜化石発掘の歴史も必見だ。(西村寿雄)
◉9冊目『恐竜は今も生きている』(ポプラ社、2015)
「恐竜は今も生きている」と著者はいう。
近年、恐竜化石があちらこちらで発掘されるにつれ、「羽毛」の生えた恐竜の存在が当たり前になってきた。実は、体のつくりは鳥も恐竜も同じ。鳥は恐竜の子孫なのだ。
この本を読んだらカラスも恐竜の一種と思えるかもしれない。大胆でカラフルな絵も楽しめる一冊だ。(西村寿雄)
◉10冊目『恐竜ガールと情熱博士と』(小学館、2020)
これは多くの恐竜化石を展示する「福井県立恐竜博物館」の誕生物語である。福井県立恐竜博物館建設のきっかけは、ひとりの少女による恐竜化石の発掘だった。
実は日本での恐竜化石発見の歴史でも、小・中学生の恐竜化石発掘が元になったことが多いのをご存知だろうか。子どもたちの夢が広がる一冊だ。マンガも取り入れられて読みやすい。(西村寿雄)
――「科学道100冊」特設サイトから転載