◉1冊目『海』
海にはいろいろな顔がある。潮のひいた干潟(ひがた)、遠浅(とおあさ)の海、岩だらけの海岸、海の底には高い山も深い谷もある。
海の各所には、その環境を好む生き物が暮らしていて、そこを利用する人間の活動がある。それらを一冊に全部書き込んだ欲張りな本だ。細かく描かれた絵をじっくり見ていくと、海と人間の営みを実感できる。(小川真理子)
◉2冊目『このあな なんじゃ ひがたのいきものへん』
潮が引いて、干潟が現れた。何もないように見えるけど、実はみんな忍者のように「すいとんの術」で隠れているのだ。よく見ると無数の穴が開いている。
穴から水が噴き出すもの、小さな山の上に穴が開いているもの、棒が突き出ている穴…。
いったいこの穴には誰が隠れているのかな?カニ?あさり?ページをめくるごとに楽しめる仕掛け絵本。(小川真理子)
◉3冊目『海辺のずかん』
お父さんと島にキャンプに行った。テントを張ったら、磯だまりに魚をとらえる仕掛けをかけたり、箱めがねで水中をのぞいたり、釣った魚や貝でおいしい夕食を作ったり。
そんな特別な一日の物語とともに、そこで実際に目にする生き物がページごとにていねいに描かれていて、海辺に行く時には必ず役立つ図鑑となっている。(小川真理子)
◉4冊目『海中記』
色鮮やかなウミウシや大輪の花のようなイソギンチャク、海の中はびっくりするほどカラフルだ。
他人の体をすみかにしてしまう魚、瞬時に色を変えるイカ、まわりに自分をすっかり溶け込ませて獲物を待つ魚など、それぞれの生き方も実に個性的。
普段は目にすることができない驚くべき海の世界をたっぷりと楽しめる。(小川真理子)
◉5冊目『サンゴの海』
石垣島のまわりに広がるサンゴ礁(しょう)。潜ってみると、色とりどりの魚がサンゴの周りに集まってまるでお花畑のようだ。サンゴは海のレストラン、そして魚たちのすみかにもなっている。
それにしてもサンゴって石?それとも植物?いえいえ、イソギンチャクと同じ動物の仲間だ。びっくりするようなその暮らしを写真で見てみよう。(小川真理子)
◉6冊目『ツバル 海抜1メートルの島国、その自然と暮らし』
どこまでも青い空、透き通る海、緑滴(したた)るヤシの木。サンゴ礁は魚たちだけでなく、人間をも住まわせてくれる。
南太平洋のサンゴ礁の国ツバルの人たちはとっても陽気な人たちだ。海とともに生きる彼らの力強い笑顔がすばらしい。
こんな美しい国が無くなるなんてことは、絶対にあってはならない!と心から思える写真絵本。(小川真理子)
◉7冊目『山に木を植えました』
山に木を植えることが海の魚たちとどういう関係があるのか?それはこの本を読んでのお楽しみ。
秋に木の葉が落ち、腐るとやがて腐葉土(ふようど)になる。雨が降ると腐葉土にしみこんでいき、腐葉土から栄養、鉄分、フルボ酸が水に溶けだして…。
海も山も、そしてすべての生き物が互いに関係しあって今の地球ができているのだ。(小川真理子)
◉8冊目『クジラのおなかからプラスチック』
クジラのおなかから80枚以上ものビニール袋が出てきた?なぜそんなものが海を漂っていたのか。それは人間が捨てたからだ。
クジラだけではない。紫外線で小さくボロボロになったプラスチックはもっと小さい魚や貝にも食べられ、なんと人間が食べる貝の中にも入っている。
今一番ホットな環境問題をわかりやすく解説している。(小川真理子)
◉9冊目『しずくのぼうけん』
冒険好きの”しずく”はある日バケツから飛び出して旅に出た。
しずくは、お日様に照らされて水蒸気になり、空高く昇っていく。しかし、ほかのしずく仲間とともに雲から振り落とされ、水になって川を流されたり、凍ってつららになったり、冒険は続いていく。
水は姿を変えつつ、常に旅をしているのだ。(小川真理子)
◉10冊目『水 めぐる水のひみつ』
海の水は灼熱(しゃくねつ)の太陽に照らされて蒸発し、上空で冷やされて水や氷のつぶに戻る。これが集まったものが雲だ。やがて雨となって田畑を潤した水は土にしみこみ…。
雪や雹(ひょう)になることもあるだろう、あるいは氷山を形作っているかもしれない。
地球上でさまざまに形を変えてめぐる水から、私たちは限りない恩恵(おんけい)を受けている。(小川真理子)
――「科学道100冊」特設サイトから転載