「身の回りの元素を調べよう」という副題にもあるように、その元素が身の回りで、何に、どのように使われているかが、水素からはじまる原子番号順に解説されています。全てのページがカラーの多彩な写真に説明が添えられ、まさしく「目で見る」元素の世界が堪能できる本です。それぞれの元素の用途だけではなく、食品として利用するものに特徴的に含まれているものや生体の例など、生物学的な視点にも配慮されています。
これから化学を本格的に学ぶ以前の小・中学生には、身近なものと元素が結びつく驚きと楽しさが伝わるでしょう。化学を学んでいる高校生にもあらためて体系的に元素をとらえる一助となるでしょう。元素はどこか別世界の、何か堅苦しく難しいよくわからないもの、ではなく、日々それらにかこまれて暮らしていることが実感できると思います。
また、男子中・高生に静かに評判となった「萌えキャラ」で元素の性質を表現した『元素周期萌えて覚える化学の基本』満田深雪監修/PHP研究所 は女子中・高生には少々抵抗があるようですが、電子構造図もついた解説はしっかりしたものです。
相次いで元素を取り上げた本が出版され、美しい、あるいは面白いと感じられる構成で表現され話題になるのは、とても素敵なことだと思います。
科学読物研究会 二階堂恵理