本を開くと、まず水の中の金魚を上から見たり、横から見たり、コップに水があるときとないときの見え方の違いなど、おとなも虚をつかれる導入の後、虫めがねを2枚重ねて見たときのまわりの世界の変化が紹介される。一つめこぞうで現れるお姉さんは愉快。
見なれた世界をちょっとひろげて子どもたちに見せたいとき、最も簡単な「実験道具」は虫めがねかもしれない。家のどこかには転がっていそうだし,値段も安いので気軽に買える。だから科学遊びをまとめた本のなかではよく見かける道具だ。であるのに、小さい子ども向けに「虫めがね」だけを中心に扱った科学遊びの本は意外に少ない。ほとんどないと言っていい。
この本はその点でまず貴重な一冊である。 加えるに、レンズ遊びと美しい写真はとても相性が良い。このシリーズの特徴であるクリアな写真が、読者をレンズ遊びの誘惑に誘う。
科学読物研究会 藤田 千枝