読者のみなさんへ、という前書きから、いやそれどころか表紙から、この本にはだまされっぱなしです。裏表紙も、目次も、、、、どのページも例外なく、だましのテクニック。でも、もっとびっくりするのは、実はこの本は人間の目をだましているのではなく、実際にあるものを、光や角度を調節して忠実に再現しているだけだということがわかったときです。
人間の目は実にだまされやすいのです。ふくらんでいるものがへこんで見えたり、絶対にありえないような立体が見えたり、ただの工作のやりかけだと思ったものが、本をさかさまにして見ると・・・・。何回見ても、答えがわかっていても、見るたびに、えーっ、そんな!と驚いてしまいます。
だまされることが快感になるほどすごい、そして遊び心が満点の本。視覚のミステリーツアーは、わくわくする世界を私たちに見せてくれます。
科学読物研究会 小川 真理子