◉1冊目『きゅうきゅうばこ』
もし、ころんですりむいたら、はなぢがでたら、たんこぶができたら、しびれたら……、子どもたちが経験しがちな12種類のけがの手当てを紹介している。
絵もシンプルで、いざというとき、絵を見ただけでやるべきことがわかる。最新の手当ての方法を紹介するために、30年ぶりに新版となった。子どものためのけがの手当ての本として、一家に一冊、手元に置いておきたい本。 (坂口美佳子)
◉2冊目『はなのあなのはなし』
風邪をひいて鼻水が出てくるところは、はなのあな。ゴリラは鼻水が乾いたらべりっと剥がして食べるとか。イルカのはなのあなは頭の上にひとつだけ。
はなのあなっていろいろな形があって、それぞれに使い道がある。見返しいっぱいにギッシリ整列した黒い丸は、はなのあな? それとも本文にも出てくるはなくそ? 子どもには何と見えるのか、思わず笑ってしまう愉快な本。(坂口美佳子)
◉3冊目『すってはいてよいくうき』
日本の科学絵本では第一人者の本。長く読み継がれている。
生物が生きていくには空気を体に取り入れなければならないということを、幼い子どもが理解できる言葉遣いとペースで、きちんと説明してくれる。レトロな絵も温かく、呼吸器それぞれの働きばかりでなく、光合成や環境問題まで子どもたちにしっかり伝えてくれる。 (坂口美佳子)
◉4冊目『からだのふしぎ けがとびょうきのなぞ』
ミクロの探検隊がけがやびょうきのなぞを探りに出発。学級閉鎖の場面では、ウイルスの増え方、発熱のしくみ、ウイルス退治の方法などを紹介する。
他にも熱中症や花粉症、スマホの使い過ぎなど、全部で9つのけがやびょうきを説明する。ページ全面を埋め尽くす楽しいイラストも、小学校低学年の子どもの理解を助けてくれる。(坂口美佳子)
◉5冊目『医療をささえる町工場』
日本の町工場の技術はすばらしい。この本では、大人用や動物用の人工呼吸器ばかりでなく、新生児用の人工呼吸器が、どこでどう開発されて製品になっているのか、豊富な写真でわかりやすく紹介されている。
他にも、義肢、世界一細い手術針、歯石除去機、痛くない注射針などをつくる24社の町工場の紹介がある。(坂口美佳子)
◉6冊目『のぞいてみようウイルス・細菌・真菌図鑑』
小学校高学年向けのウイルスの本。ウイルスと細菌や真菌との違い、ワクチンの発見の歴史、免疫のしくみ、ウイルスの伝染や進化のしかた、そして30種ものウイルスについて一つずつ説明がある。
裏表紙の見返しには、いつ、どこで、どんなウイルスが大きな事件を起したか、一目でわかる世界地図もあって興味深い。
★コロナウイルスならこの本も
『もっとしりたい!微生物大図鑑1 なぞがいっぱいウイルスの世界』北元憲利/著 ミネルヴァ書房 2015年
同じ著者。感染症の広がりを防ぐ学校のルール、感染症の侵入を防ぐルール、PCR検査法のしくみ、コロナウイルス(新型ではない)についても説明がある。(坂口美佳子)
◉7冊目『うんちの正体 菌は人類をすくう』
子どもたちは「うんち」という言葉にすぐ反応するが、大人でもこのタイトルにはそそられる。NASAが行っていたうんちとおならの研究、腸内細菌や腸の免疫細胞の姿と働きなどが、楽しさいっぱいの絵からもわかる。
最後に、生物多様性が大切なのは、ヒトの体にいる細菌についても同じだと結んでいる。無重力の宇宙でのうんちの出し方を、1時間かけて実際に確かめる方法も載っている。(坂口美佳子)
◉8冊目『生物学 生命ってすごい!』
60種もの生物学に関するキャラクターが大集合、自慢大会が始まる。
ウイルスは「ぼくは最悪なオジャマ虫-きみの体にずけずけ押し入って、細胞を乗っ取って言いなりにさせてしまう」、RNAは「陰でこっそり糸を引く謎めいた存在」。
ルビがついた説明を読みながら、理解が進む。ユーモラスなイラストも、いろいろな情報を表していてみあきない。 (坂口美佳子)
◉9冊目『いろいろいろんなからだのほん』
背の高い人、赤ちゃん、車いすの人など、人のからだの多様性を淡いトーンの絵でたっぷりと見せてくれる。しかも、男の子か女の子かはっきりさせなくてもかまわないなどと、視点を変えた見方も紹介している。
遊び心にあふれた絵を見ていくだけでも、自分のからだを見直すと同時に、他の人のからだも大事にしたいと気づかせてくれる本。(坂口美佳子)
◉10冊目『いのちと福祉のねだん』
学校の健康診断、日本から世界に広がった母子手帳、色のユニバーサルデザイン、生活保護にとって代わるかもしれないともいわれるベーシックインカム、健康保険や年金のしくみなど、健康や福祉に関する事項を小学校高学年から理解できるように紹介している。 明るく見やすい図版も豊富。(坂口美佳子)
――「科学道100冊」特設サイトから転載