量子論の本をもっと読んでみたいとか、読んでみたけどよくわからなかった、という人におすすめの本です。
冒頭にはアインシュタインとボーアと猫が登場します。3人(2人と1匹)の対話で始まる量子論の物語は、優しく読者を招いてくれ、「これなら読めるかも」と思わせてくれます。対話の後に続く本文は、量子論が登場する1900年から時代に沿って進められていきます。文章はとてもわかりやすく、またどのようにして量子論が築かれていったのか、その経緯を知る楽しみも味わうことができます。
いくつかの重要な数式が出てきますが、その解説がわかりやすいために「量子論をもう少し詳しく知りたい」人へのうまい導きとなっています。数式をいっさい書かずにオブラートで包んだような説明の本よりも、この本のほうがかえってわかりやすいかもしれません。
文庫本なので手軽に持ち歩くことができ、ページ数も多くなく、あっという間に読んでしまうことができます。読めば読むほど味が出てくる量子論、何冊読んでもおもしろいのですがこの本は是非ともその中に入れたい珠玉の1冊です。
科学読物研究会 森 裕美子