著者は、『図解「物理」は図で考えると面白い』(青春出版社)や『最新 科学のニュースが面白いほどわかる本』(中経出版)などの著作がある科学ジャーナリスト。総ルビ付きの児童向けですが、光に関心がある大人にとっても、 “わかること”が楽しくなってくる本です。
光の正体が解明される以前は、熱心に光を研究し、光を捉える目が養われていたのは画家であったこと、彼らは光を描くのでなく、影を描くことで物を立体に見せたり、影を濃くすることで強い光がさしていることを表現したり、中でも印象派の巨匠モネは、命をかけて光を追い求めた画家だったという話から第一章が始まります。
第二章では、この世に光がなかったら、人間は体内時計が狂い体調を崩してしまうこと、植物も光合成が出来ず、植物を食べる動物も生きていけないことなどの話が続きます。
ここ迄で、1/3のページを割いて、光がいかにかけがえないものか丁寧に説明されており、改めてその重要性に気付かされます。
もちろん、光の性質や色との関係、光の正体が明らかになる歴史についても、第三章から第五章で豊富なイラストを使ってわかりやすく解説されています。
最終章では、「子供には少し背伸びした内容だが、光は今後も人類に新しい役割を果たしそうだと感じて欲しい」(まえがきより)という著者の思いが込められ、「近接場光(エバネッセント波)」「光量子コンピューター」などの最先端技術も紹介されています。
科学読物研究会 藤高信男