『泡のざわめき』は、ワンダー・ラボラトリーシリーズの1冊で、多方面にわたる「泡」の話を科学的で洒落た感じにまとめたヤングアダルト向きの本です。面白く読んでいると「コルクは泡の申し子」とあり、コルクが泡構造であることやコルクによる細胞発見、シャンパンのコルク栓のことなど、コルクにまつわる話も様々書かれていました。
それで、ふと絵本『はなのすきなうし』<岩波の子どもの本>マンロー・リーフ文/ロバート・ローソン絵/光吉夏弥 訳/岩波書店を思い出しました。お話の舞台はスペイン。闘牛にあこがれるほかの子牛とは違い、コルクの木の下で一人静かに花の匂いをかいでいるのが好きな牛フェルジナンドの物語。マンロー・リーフが、親友のロバート・ローソンのために一気に書き上げ、ローソンが闘牛やスペインのことを調べて素晴らしい絵を描き、1936年9月11日発売された絵本です。大変な人気となり、日本でも1954年12月10日に出版されて以来、今日まで読み継がれています。
フェルジナンドが大好きな場所はコルクの木の下ですが、ローソンの絵が傑作です。ローソンは、コルク樫の木にまるで果実のようにワイン栓を房状に実らせているのです。ワインのコルク栓って、コルクの木にこんな風に実るのだと思う人がいるかもしれないくらいさりげなく。ローソンのいたずら心、ユーモアでしょうか。私もこれを見て可笑しくて、コルク栓がどうできるのか、コルクって何?と興味を持って調べたことがありました。
そして、こういう物語絵本の中にも「科学への小径」は見つかるのだなと思ったのでした。
科学読物研究会 竹田裕子