私たち人間が見ている世界は、他の動物たちにはどのように見えているのだろう。そんな想像をしたことはありませんか?
白い建物、その向こうに広がる森、色とりどりの花や様々な動物、青く広がる空に浮かぶ白い雲。人間にはそのように見える同じ風景を色々な種類の動物が見ていると仮定しましょう。絵本を開くと、ページいっぱいに描かれた愛らしい動物の顔がまず目に飛び込んできます。その目の部分にあるしかけをめくると、その景色が動物にはどう見えているのかを覗くことができます。チンパンジーは人間とほとんど同じように見え、ワシには遠くにいるウサギが人間よりも大きくはっきりと、尿のあとまでも見えるようです。ミミズやコウモリには一体どのように見えているのでしょう。
紹介されている動物は20種類。動物の見ている世界は絵で表現されているので、とてもわかりやすく、しかけをめくるたびに驚きがあります。めくった目の裏側には、「視野」「色と光」「動きを捉える能力」「視力」という4つのポイントについての解説もあるので、違いが生まれる理由についても発見があるでしょう。
この本を読んだ後、動物を見かけたら、彼らの見ている世界を想像してしまうのではないでしょうか。本を閉じた後も、私たちの見る世界が広がり続けます。
ルビ付きの文字は小さめですが、文字を読まずにしかけをめくっていくだけでも飽きない仕掛絵本図鑑。未就学児から親子で楽しめます。
(科学読物研究会 中村涼子)