表紙をめくると、赤い「ちゃんちゃんこ」を着たおじいさんが、本の上に丸い筒をのせて眺めている絵があります。この本は、このおじいさんのように筒をのせて各ページに描かれた絵を楽しむ本です。筒は付録のミラーシートを巻いて作ります。外側をミラー面にして、そこに映ったものを楽しみます。
どのページにも、ひしゃげたカラーの絵とぐにゃぐにゃした文字らしきものが一組ずつ描かれています。ミラーシートの筒の外側に映った絵を見て、なぞが一気にとけます。あいうえお順に、文字とその文字で始まる物が描かれているのです。たとえば「れ」のページには、バナナに見える絵が描かれていますが、筒に映った絵を見ると、レモンになって見えます。
「た」のページの赤いブーメランに見える絵は、凧です。1ページずつどんな絵なのか予想を立ててから、筒を乗せて答え合わせを楽しむこともできます。描かれている絵には、録音テープなど今の子どもたちにはなじみのないものも出てきますが、それも話題にして楽しんでみてください。
また、最後のページには、「ひずんだ絵のかきかた」として、自分で自由にひずんだ絵を描く方法が、順を追ってていねいに説明されています。ひずみ絵用の方眼紙も原寸大で載っているので、コピーして使えます。
残念ながらこの本は絶版ですので図書館で借りてください。同じ作者の『魔法使いのABC』は手に入ります(2016年12月現在)。もし、筒にするためのミラーシートがなくなってしまっても、代用品についての説明もあります。
科学読物研究会 坂口美佳子