この「科学キャラクター図鑑」のシリーズは全15巻で、化学、物理、生物、数学、宇宙、地学などの分野ごとに、用語や情報を表すキャラクターが次々に登場して自己紹介をします。どのキャラクターもユーモアたっぷりに自分の特徴を自慢するので読んで楽しいばかりでなく、その特徴をよくあらわしているキャラクターのイラストを見るだけでも想像が広がります。カラフルでゆかいなこのシリーズは子どもたちに人気があります。
中でもこの本は、今、周期表にのっている118種類の元素が、化学的に似た性質をもつグループ(周期表の縦列の族)ごとにまとめられていて、たとえば水素のキャラクターは、「ちびだからといって、ばかにするなよ。一発くらわす力が、この小さい体にみなぎってるんだ」と元気いっぱいにしゃべりだします。漢字にはルビが振ってあるので、小学生でも読みやすいでしょう。どのページも個性的な自己紹介だけでなく、元素記号、原子量、色、標準状態(25℃で気体・液体・固体の違い)、分類(金属・非金属の違い)、発見された年、融点、沸点など基本的な情報ものっていて、118種類の元素の違いがよく分かります。
理化学研究所の森田浩介研究グループが発見しニホニウムと命名された113番元素は、この本では「ウンウントリウム」と紹介されています。まだ、正式な名前が決まっていなかったときに本が出版されたからです。113番元素と同時期(2016年)に命名された115番、117番、118番の命名の方法についても説明があります。本の最後にキャラクターが勢揃いした大きな周期表が付いているのも人気のひみつです。
あわせて『世界で一番美しい元素図鑑』セオドア・グレイ 著/ニック・マン 写真/若林文高 監修/武井摩利 訳 創元社もどうぞ。
科学読物研究会 坂口美佳子