A4サイズの大型絵本。コナラの大木が土が土になるまでのはなしをしてくれます。
始まりは火山の噴火。火山灰に水がふれて粘土のかたまりができ、そこへキノコやダンゴムシに細かくされた枯葉などが混ざります。さらに雨水の働きで上層の土と下層の砂などが混ざり合い、ミミズやモグラといった土中の生きものの活動で空気が含まれます。長い時間の化学、生物、物理的な作用によって、しっとりふわふわな土が生まれる過程が詳しく説明されています。
火山灰から5㎝の土ができるまでおよそ1000年かかるとのこと。火山からバクテリアまで、日常を超えた空間スケールや目に見えない土の中の世界、長い時間の変化を分かりやすくものがたることができるのは絵本ならではのことでしょう。土や枯葉の色、粘土のかたまりの様子、地表から土中への変化など、どのページも見事に描かれています。そして厳選された文章から、生きものと土と地球のつながりや、ひとかたまりの土の中の世界、足元の土の歴史を感じとることができるでしょう。
巻末には土と人の生活とのかかわりについても解説されています。土の成り立ちや役割を知り、地球に暮らす私たち人間のあり方を考えさせてくれる本です。
科学読物研究会 中川僚子