偏光板とは、様々な方向に振動している光が、それをとおると一方向だけに振動する光(偏光)しか出てこないような、光のフィルターのようなもの。まだ偏光板をご覧になったことがないとか、名前を聞いたこともないという方も、偏光板はテレビやパソコンなどの液晶画面に使われているので、実は知らず知らずのうちにすでに偏光板を目にしています(きっと、この記事を読んでいる画面にも偏光板が)。
2枚の偏光板を重ねて1枚だけゆっくり回していくと、だんだんと暗くなりあるところでは真っ暗に、そしてまただんだんと明るくなっていく。その2枚の間に透明なプラスチックのスプーンや、くしゃくしゃのセロハンなどをはさむと、それはそれは美しい虹色が現れる・・・。偏光板を使った科学あそびは、まるでマジックを見ているような驚きと感動があります。
この本には、うれしいことに付録に偏光板がついているので、読みながら一緒に実験できます。博士と4人の子どもたちとのやりとりを通し、光の基本的なことから、偏光とはどういうものなのか、偏光板のしくみ、身の回りや自然の中にもいっぱいある偏光を知ることができます。専門書ではなく、偏光や偏光板についてこんなに丁寧に解説されていて1冊の本になっているものは、他にはないでしょう。
サブタイトルの「ミツバチの方向感覚のなぞ」も、偏光板で明らかに。本書の解説通りに「ミツバチ偏光板」をつくり、青空を回しながらながめてみると、「ああ、そうだったのか!」とミツバチの目を持った感動を覚えます。最後に掲載されている、このミツバチの方向感覚を発見した科学者フリッシュさんのお話も興味深いです。
偏光板を手に持っていろいろなものを見てみませんか? きっと見えないものが見えてきますよ!
科学読物研究会 木甲斐由紀