あなたにとって「リケジョ」ってどんなイメージですか? 学生時代は優等生、卒業後は家事も仕事もこなすスーパーウーマン? 意外なことに、著者自身が進んできた道は違うイメージとのこと。美馬のゆりさんに「リケジョ的」に生きるコツを聞いてみましょう。
中高生向けの新書本です。はじめに、「生きていくとは、生活をし、仕事をすることです。」と明言しています。その生活と仕事を注意深く見直すと、家事の分担や大学進学、就職といったこと以外にも、日用品やアニメ、はたまたトイレ表示まで、隠れたジェンダー・バイアスが存在します。こうした「なぜ? どうして? 何か変?」を見つけて「どうしよう?」と考える、自分の人生の中で何が重要で何をしたいのかを考えるためのヒントを教えてくれます。
次に「自分で学ぶべきことをみつけることが生きていく力になる」と不確実な社会の中で学び続けることの大切さを伝えています。人は本来「新しいことを知りたい、人の役に立ちたい、表現したい」欲求を持っていて、これらの実現に共同的・社会的な活動が深く関わっているとのこと。著者が携わった科学コミュニケーションを土台とした学びの場の実践が複数紹介されています。そして「多様性を尊重しながら自由な発想と信念を持って進もう。」とエールを贈り、それを実現するための3つの魔法の呪文を伝授しています。
料理とおしゃれが大好きという著者と食卓を囲んで話をしているような文章です。多彩なキャリアを積みながら、しなやかに人生を歩んできた著者のリケジョ・マインドが詰まっています。冒頭には「リケジョ的生き方」が定義されています。老若男女、誰にでも当てはまるファンタスティックな言葉です。ぜひ読んでみてください。
科学読物研究会 中川 僚子