1本のろうそくを手に語り始めるマイケル・ファラデー。その講演録である『ロウソクの科学』を座右の書にされている方も多いと思います。6日間に及ぶその内容は、興味深い実験を次々に見せながら観衆をひきつけていきました。当たり前と思うことも実際に実験してみることで驚きと疑問がうまれ、さらに実験をかさねて・・・こうしてものの仕組みや美しさが明らかになっていきます。
ファラデーは、見るだけでなく自分でも実験して確かめることを勧めていますが、自分で確かめることこそ、身のまわりの現象をじっくり感じとり、深く知ることにつながります。この本は講演録の完訳ではありませんが、ファラデーの言葉とあわせて編者の十分な補足で臨場感のあるものになりました。
ファラデーが演示した実験の中から厳選されたTRYマークのついた実験は、カラーの写真と詳細な説明があるので、現代の家庭でも簡単に実践できるものです。読むだけではなく実際に手を動かして楽しむことができることで、まさしくファラデーの講演を現代によみがえらせているのです。
科学読物研究会 二階堂恵理