月が地球より小さくて、地球のまわりを回っているなんてあたりまえ、そんなこと誰でも知っているよ!と思っていたらとんでもありません。月は地球より大きいと思っている子どもが意外に多いのです。明るく輝く満月を大きいなあと感じているのでしょう。そういう子ども達と一緒に月食を観察して、地球の影の大きさを確かめたいものだと思います。そうすれば地球が月より大きいということがきっと納得できるでしょう。
昔は今日は三日だから三日月になる、十五日だから満月だ、というふうに、月の満ち欠けがカレンダーと一致する太陰暦を使っていました。これなら月は身近な存在だったのでしょうが、今では何日が満月なのかさっぱりとわからなくなってしまいました。「今日は夜空が明るいな、あっ満月だったか」と気付くくらいです。昔と違って今では月はすっかり遠い存在となってしまいました。
実際に月はとても遠くにあります。1億分の1の模型で地球と月を作ってみると地球の直径は約13cm、月は約3cmに対して二つの天体の距離はなんと3.8mもあるのです。思ったより遠く離れていることに驚かされます。アポロの為した偉業からもはや40年以上たち、いまの小学生の親世代もあの興奮を全く知らない世代になってしまいました。
月のことを基本から知りたいと思った人にお勧めしたいのはこの本です。月の満ち欠け、月の軌道、日食のこと、月はどうやってできたか、月面図月探査のことなどやさしく解説されていて手元に置いておきたい一冊です。
私は満月のとき、地球より小さい月が太陽と反対の方向にあるのにどうして明るく照らされるのかが不思議でした。この謎を解くためにこの本を読みました。そして月の軌道が5度ずれていることを知りました。たった5度と思っても月との距離から計算すると、かなりずれていることがわかりました。これなら月に太陽の光が当たることが納得できます。謎が解けてとてもすっきりしました。
上弦の月、下弦の月の説明がこの本の中では、月が西の空に沈むときの弦の位置となっていますが、国立天文台の渡部潤一さんの話では旧暦の上旬、下旬から由来するものということです。ともあれこの一冊がいろいろな方法で今まで知らなかった月を見せてくれることは間違いありません。小学高学年以上。
科学読物研究会 森裕美子