5月の金環日食、6月の金星の太陽面通過は記憶に新しいですが、今年は驚くほど多くの天体現象が見られます。その中でも7月15日に木星が月に隠される「木星食」、8月には金星が月に隠される「金星食」が見られます。
月についてどのくらい知っていますか。地球から月までの距離は約38万キロメートル。時速300キロの新幹線に乗って53日かかります。大きさは地球の4分の1、重さは81分の1です。月には水はありませんが海や入り江のように見える地形、山脈や谷などそれぞれに名前がついていて、まるで小さな地球のようです。アポロ11号で人類が月に着陸してから43年。その後、月探査機が開発され、詳細な情報もわかるようになりました。
科学的に解明されても月は不思議な魅力をもっています。古くは日本書紀に記され、古今集や万葉集にも数多くの歌が詠まれています。
陰暦10日目の月を十日夜(とうかんや)、日没後立って待っているうちに月が上る立待月、夜が更ける頃月が上る更待月、有明の月など月の形には日本独特の美しい呼び名があります。このように昔から日本人は月に親しみ、見上げてきました。
後半には皆既月食や木星食の写真、2050年までに日本で見られる月食のデータも載っています。月を親子で眺めるのにおすすめの1冊です。
科学読物研究会 伊丹弥生