私たちは、いろいろな数字に囲まれて暮しています。今、もし数字が消えてしまったらたいへんです。建築、地図づくり、絵や音楽も数字と関係があります。学校で勉強する数学が苦手な人も買い物の時には、たし算やひき算、かけ算や割り算などが必要ですよね。
本書は、数学が得意な子どもたちと不得意な子どもたちの平等を願って書かれています。
まず、第一部は「数のはじまりと広がり」というテーマで大昔の人の数の数え方や数えたかずの記録のしかたなどを紹介しています。昔の人のアイデアにびっくりです。
体を指差して数を数えたり、石ころを積み上げて羊の数を確かめたりなど、興味ある話を読んでいるうちに数学が苦手な子供たちにも、「数学っておもしろそうだな!」と少しでも思ってもらえれば作者は大成功と言えるでしょう。
第二部は「暮らしにひそむさまざまな数学」というテーマです。幾何は図形の性質を調べる数学の一分野ですが、苦手という子供たちも多いと思います。でも、傾かない家や崩れないトンネル、ピラミッド、神殿、つり橋、高速道路など、どの建築物にも幾何が使われています。
お金を発明や、値段を決めるのも数学は役に立っていますし、ゲームに強くなる方法?なんてことも書かれています。とにかく、暮らしの中にいかに数学が使われているかがわかります。
第三部は「数と形のふしぎな発見」というテーマで円周率πについて、素数、フィボナッチ数などについて書かれています。古代文明の人たちはみんな円周の長さが直径の約3倍だという事を知っていたようです。πの値が3.14になる事を初めて計算した、アルキメデス(紀元前250年ごろ)ですが、今でもこの数が使われていますね。
また、素数ゼミの話も興味深いです。17年間、幼虫のまま土の中で暮らし、最後の年にいっせいに地上に出てきて、おとなになり、子どもをつくって死んでしまいます。13年間土の中で暮らすセミもいてどちらも素数です。その他にも、花びらを数えるとフィボナッチ数が見つかることが多いようです。
第四部は「数学はこんなに美しい!」というテーマです。数学の考えはどの国でも同じ数字や文字や記号であらわされるから、数学の言葉は世界共通です。
計算するときも、ちょっとした工夫で美しいものになります。本書の中には、ときどき「計算してみよう」とか「予想してみよう」「やってみよう」などの問題がでてきます。
例えば、地球に住んでいる70億人の人が、みんなで手をつないで人間の鎖をつくったら、地球を一周できるかな?このような問題に取り組んでいるうちに数学の楽しさをさらに知っていくでしょう。
答えは問題の次のページに出ているので答え合わせしながら楽しめると思います。一緒に楽しみましょう。
科学読物研究会 岩田 真弓