語りかけるような真鍋先生の解説はわかりやすく、どのページにも大きなカラー写真やイラスト、図がいっぱいで、初めて恐竜の本を読む人から詳しい人まで楽しめる本です。真鍋博士がWebと対面で実施した子ども向けの6回の連続講座がもとになっていますが、この本の読み手が真鍋先生と一緒に、本の中で学び、自分で発見して、実際に骨格標本作りやスケッチなどを自分のペースでやってみることができる構成です。
1時間目は「発掘」について、2時間目は「恐竜の頭」、3時間目は「前あし」、4時間目は「後ろあし」、5時間目は「腰と尾」、そして最後の6時間目は「恐竜の絶滅と鳥への進化」という6章があり、他にクイズや実例もあってゆっくり読み進められます。
例えば、1時間目では、2020年春にアルゼンチンのパタゴニア地方で新種を含む恐竜化石を発掘した時のことですが、まるで一緒に発掘に行ったようにワクワクする内容です。質問コーナーでは、質問も真鍋博士の回答の内容もおもしろく、コラムでは発掘作業の合間のお楽しみだったお茶やご飯の時の笑顔の写真が印象的です。
2時間目は、ティラノサウルスとヒトの頭骨のスケッチの実例から始まり、ティラノサウルス化石の頭部にたくさんある穴のうち、目はどこか、鼻は? 耳は? 歯はどうなってるの? とどんどんページが進むと、すっかり詳しくなっていることでしょう。最後に真鍋博士から子どもたちへのメッセージ文があります。
(科学読物研究会 市川雅子)