◉1冊目『なく虫ずかん』(福音館書店、1991)
ジージージー、ミィーンミィーン、キチキチキチ……カラフルに表現される虫の鳴き声!文字の大きさ、色、形から鳴き声を想像しながら次のページをめくると、その声の主たちが草木のあいだに描かれている。
巻末に、虫が音を出す仕組みの解説や鳴き声のリズム楽譜もついていて興味深い。表紙の裏には「なく虫リスト」があり、人知れず鳴いている虫が多いことがわかる。(原田佐和子)
◉2冊目『鳴く虫観察事典』(偕成社、2007)
キリギリス、コオロギ、カネタタキなど代表的な鳴く虫について、生活の様子や鳴き方の仕組み、鳴き声でどんなことを仲間に伝えているのかなどを説明している。
豊富な写真の中には、羽のギザギザが鮮明に見える拡大写真や虫の耳の写真もある。最後の見開き2ページに鳴く虫の飼育方法も載っている。(原田佐和子)
◉3冊目『野山の鳴く虫図鑑』(偕成社、2010)
いつ、どこで、どんな鳴く虫に会えるのかがわかる図鑑。季節ごとに場所も「草原」「家のまわり」「森や林」などに分けてあり、虫を探しに行く時に使える。
見開きいっぱいの絵には「8種14匹います」などと書いてあり、隠れている虫たちを探すのが楽しい。次の見開きにはそれぞれの虫たちの説明がある。リアルな虫を描くためのイラスト講座のページもある。(原田佐和子)
◉4冊目『わたしたちのカメムシずかん』(福音館書店、2020)
カメムシに悩まされていた岩手県葛巻町の葛巻小学校。このやっかいものを「みんなで調べて“カメムシはかせ”になろう!」と校長先生が提案した。こうして始まった活動の1年間を描く。
調べ始めると30種以上ものカメムシが見つかり、とうとう自分たちの「ずかん」を作ることになる。さらにカメムシの生態にも興味はどんどん広がっていく。(原田佐和子)
◉5冊目『じめんのしたの小さなむし』(福音館書店、2011)
落ち葉の下で眠っていた卵から生まれた虫の赤ちゃん。やわらかな土を食べてスクスク育っていたのに、植木鉢のおうちに連れていかれてしまった!植木鉢から逃げ出した小さな虫の冒険旅行が始まる。
春になって小さな虫はどんな変身をしたのだろう。この本に出てきた虫の赤ちゃんの飼育方法も載っている。(原田佐和子)
◉6冊目『虫こぶはひみつのかくれが?』(福音館書店、1998)
虫こぶとは、植物の葉や茎に住んでいる虫が植物の細胞を変化させてできたこぶのこと。この本は、シロダモタマバエの虫こぶを研究している著者の1年間にわたる観察をまとめたもの。
春、2792個の虫こぶを見つけたところから研究が始まる。他の虫に寄生されたり、葉が枯れてしまったり、虫こぶの中にいるシロダモタマバエの苦難は多い。春になって無事成虫になるのはどれくらい?(原田佐和子)
◉7冊目『どんぐりの穴のひみつ』(偕成社、2006)
どんぐりでコマ遊びをしていると、どんぐりの小さな穴から一匹の太った幼虫がはい出してきた。どうやって穴をあけたのか?どんな成虫になるのか?そんな疑問から始まり、謎は謎を呼び、推理小説のように話が展開する。
どんぐりの穴の犯人捜しはとうとう足掛け9年にも及ぶ。それでもまだ未解決事件が残っているそうだ。(原田佐和子)
◉8冊目『虫のしわざ探偵団』(少年写真新聞社、2018)
木の葉がきれいに切りぬかれていたり、壁にどろ団子がはりついていたり。これらはみんな虫のしわざ。虫が見つからなくても、虫の「しわざ」はあちこちで見つけられるだろう。
残されていた「しわざ」をてがかりにその犯人の姿を探してみよう。見たこともない虫や見つけにくい虫にも出会えるかもしれない。(原田佐和子)
◉9冊目『ファーブル昆虫記 みのむし』(ひさかたチャイルド、2008)
『昆虫記』で有名なファーブルがみのむしの不思議な生態を調べた一冊。この本を読んでみのむしの暮らしぶりがわかったら、みのむしを探してみよう。
秋から冬にかけてはみのむしを見つけるチャンスだ。みのむしを捕まえて、みのむしが毛糸や色紙を使ってみのを作るところを観察してみよう。(原田佐和子)
◉10冊目『ふゆのむしとり?!』(ほるぷ出版、2014)
冬なのに虫取り網を持って出かけるお兄ちゃん。ついていくと、本当に虫がいた!
冬でも暖かい日は虫もひなたぼっこしている。テントウムシは集団で冬を越し、カマキリは卵で冬を過ごし、ミノムシは木にぶらさがって春を待つ。成虫で冬越しする虫たちを見つけて「大収穫!」ということもある。案外、冬の虫探しも楽しい。(原田佐和子)
――「科学道100冊」特設サイトから転載