神戸新聞日曜版に2000年から連載中の「理科の散歩道」。その中から化学の基礎になる話題90を選んでまとめた本です。ちょうど見開き一項目の読み切りスタイルで、最初から順を追っても、気になる項目を先に選んでも楽しく読み進められます。さらに、それぞれの話題には小中高校生の描いたイラストも配置されていて、学校での学びを卒業した後も、自然科学に親しむことを特別なことではなく、文化として楽しもうという姿勢が感じられます。
化学というと、ガラス器具に囲まれて、怪しげな液体や煙をあやつる様子を連想するかもしれませんが、例えばコーヒーを淹れる時の操作や、よく冷えたスイカの方が甘味が強く感じられることなど、日ごろの生活の中で当たり前のように経験していることも多々あります。実生活に化学の手法が応用され、説明できることに気がついたら、親しみもわくことでしょう。気づいて親しみがわくことは、その先さらに知りたいにつながる一つのきっかけとなるでしょう。
まさに「みちしるべ」。子どもたちの素朴な疑問にも答えやすくなるかもしれません。新聞コラムの「理科の散歩道」はすでに本書が第4集として単行本化されていますが、続きが楽しみです。
科学読物研究会 二階堂恵理