月の写真がたっぷり紹介されている本です。写真は美しくインパクトがあり、新たな 発見ができます。3ページから69ページまで、ページの右隅には新月から次の新月までの写真が載っていて、パラパラめくれば月の満ち欠けがきれいに現れます。また、本の中ほどにある折りたたまれたページを広げると、月の表と裏の写真が、皆さんの顔より大きく載っています。
「お月見」や「竹取物語」など、月は私たちにとってたいへん身近な存在です。この本では、月を知るためにさまざまな角度からアプローチしています。第一章「月の科学」では、地球と比べながら月のさまざまなデータを、第二章「月面の世界」では、月の誕生やクレーターなど月の様子や、ほかの惑星の月までも、第三章「月と文化」では、月にまつわる世界各地の伝説や物語、月の神々、日本人と月の関係を、第四章「月への挑戦」では、アポロ計画やルナ計画、月面基地について解説しています。
たとえば、8ページ。「月の出と月の入りの瞬間」は、なぜ月の中心が地平線を通過する時と決められているのか、描かれた図をあわせて見れば、その理由がわかりやすく書かれています。月は太陽と違って満ち欠けで毎日形が変わるからです。この説明の次には5円硬貨をつかった月の大きさの確かめ方も紹介されています。58ページの月の模様が「何に見える?」では、月面の濃く見える部分を青くして形をわかりやすくしてあるので、「ウサギのもちつき」「カニ」「ロバ」などがすぐに見つけられます。このように、どのページにも「なるほど」と思う情報が満載です。
月について知りたいと思ったら、まずはこの本で調べてみると楽しいでしょう。そして、関連した内容に読み進めていくことで、ますます興味がわいてくることでしょう。
科学読物研究会 藤田あずさ