まっくらやみだからこそ、見えてくるいろいろなこと・・いつものお菓子や飲み物は、暗闇で味わうと、あれれ、いつもとちょっと違う。お父さんやお母さんの化粧品のにおいも、こんなに強かったのかな。この絵本のように暗闇にいったら、子どもは「暗いと怖い」と思うでしょう。一緒にいて守ってくれる大人の温かさや、自分のもっている五感の存在に気づくでしょう。現代の明るすぎる夜を見直して、暗い夜のもつ意味を考えさせてくれる絵本です。
電気のない生活の中で、暗闇と上手に付き合う各地の人たちの事も紹介しています。囲炉裏の火を囲んで家族や村の人たちが集い、お話を楽しんだり村の言い伝えを語ったりする暮らしは、闇の中で火に照らされ、みんなの顔がくっきりと見えるので、相手の気持ちや体調までもわかります。心を静かにして耳を澄まし、肌やにおいで記憶に刻む事もあるでしょう。
暗闇があるから光の明るさに感謝し、闇の中に人間以上の何かを感じて、畏れ敬い謙虚に身を律し、子どもを危険から守り、慈しんで暮しました。この絵本を、家族みんなで読んでみてください。そして、電気を消して・・・家族で交わすおしゃべりも増えるといいですね。
科学読物研究会 かしわざきひさこ