この作品の主人公は、ヴィーチャという、学校の勉強よりも、遊ぶことの方が大好きな少年です。勉強をしなければと思うのですが、遊びに夢中になってしまって、ついつい、勉強をさぼってしまうのです。
夏休みが終わった、9月の、最初の登校日からストーリーが始まります。ヴィーチャは4年生になったけれど、まだ、かけ算九九をしっかりと覚えていません。だから、算数が苦手で、特に文章問題が苦手です。
この小説は、ヴィーチャと転校生のシーチキンとの友情の物語です。二人はいつも一緒に遊んでばかりいて、勉強をさぼっているので成績がどんどん悪くなっていきます。あまりにも、ひどい成績なので、ヴィーチャとシーチキンはクラスのみんなの前で、しっかりと勉強すると約束をさせられてしまいます。
ヴィーチャは担任のオーリガ先生から、『やろうと思えば、あなたは何でもできますよ』と励まされて、ほんとうに、一人で、悪戦苦闘しながら、文章問題を解く。そして、だんだんと、文章問題を解くのが得意になっていきます。この本のおもしろさの一つは、ヴィーチャが文章問題をどんなふうに解いていくのか、その頭の中の思考の動きがとってもわかりやすく書いてあることです。
ヴィーチャはだんだんと算数が得意になり、自信がついてきます。そして、やはり、勉強をしなければダメなんだと考えるようになります。しかし、シーチキンは依然として、自分勝手なリクツをつけて、勉強を怠けてばかりいるので、二人はケンカ別れをしてしまいます。そして、いつの間にか、シーチキンは不登校になってしまいます。
この作品は、「ほんとうの友情とはなにか」と問いかけてきます。いろいろなことがあって、最後には、ヴィーチャとシーチキンは仲直りをし、しっかりとした友情を築き上げます。
この作品は、ロシアの子ども達の暮らしぶりがよくわかる小説です。
科学読物研究会 根本行雄