「ウイルス」について、順を追って説明してくれます。小学校高学年の子どもが読んでわかるように、文字にはルビがあり、カラーの大きなイラストが理解を助けてくれます。
本を広げると、まず、ウイルスの大きさが一目でわかるスケールが描かれています。アリ、髪の毛、アスペルギルス(真菌のかび)、大腸菌(細菌)、インフルエンザウイルス、DNAが、100ミリメートルから1ナノメートルまで10分の1ごとに印を打たれたスケール上に描かれています。ウイルスがいかに小さいかがわかります。
ウイルスと細菌や真菌との違い、ウイルスとワクチンの発見の歴史、スペイン風邪の流行の状況、ウイルスのつくり、免疫のしくみ、ウイルスの細胞へのとりつき方、伝わり方、進化のしかた、そして30種ものウイルスについて一つずつ説明があります。裏表紙の見返し全体に描かれた世界地図には、いつ、どこで、どんなウイルスが大きな事件を起したか、が描かれています。
同じ著者の『もっとしりたい!微生物大図鑑1 なぞがいっぱいウイルスの世界』(ミネルヴァ書房 2015年10月 定価2800円)には、コロナウイルス、感染症の広がりを防ぐ学校のルール、感染症の侵入を防ぐルール、ウイルスの検査方法のPCR法のしくみについても説明があります。あわせて読むと、さらに理解が深まるでしょう。子どもの科学の本は、大人のための入門書にもなります。
科学読物研究会 坂口美佳子