この本は、マジックの初心者向けの解説書です。とてもわかりやすく書かれていてます。訳者の角矢さんは「小学生以上の方を対象にしています」と述べていますが、漢字にふりがながないので、中学生以上を対象にしていると訂正すべきでしょうか。
この本は、1章ごとに、大魔法使いアラカザールのマジックの実演とその解説を聴くという体裁になっています。とても楽しく、わかりやく、マジックを一つ一つ具体的に紹介しながら、人前で、マジックを演じるうえでの心構えから始まって、基本的なことがていねいに、きちんと述べられています。
マジックは、観客と一緒に楽しむためのものです。タネや仕掛けやトリックがわかったからといって、マジックを演じることができるかと言うと、そうではありません。マジックは演技力が8割で、タネや仕掛けやトリックは2割くらいのものなのです。ですから、マジックが上手になりたい人は、とにかく、失敗をしながら、へこたれないで、たくさん練習をして、たくさん実演をして、少しずつ、上達していくしかないようです。近隣に、マジックの同好会や、「科学あそび」や「科学マジック」の同好会などがある場合は、積極的に参加するといいですね。
科学マジックを演じたい人に参考になる本を紹介しておきましょう。今から、少しずつ練習をして、クリスマスやお正月には、みんなでマジックを楽しみましょう。
この『マジックの秘密』で、マジックの演じ方の基本をしっかりとマスターしたところで、米村でんじろうさんが監修をしている、リチャード・ロビンソン著『おうちでできる かんたんおもしろ サイエンスマジック』(化学同人)、この会の会員でもある野呂茂樹さんの『先生はマジシャン』(連合出版)、奥田靖二編著『スーパースクール手品』(いかだ社)、菅原英基著『これならできるびっくりマジック』(ひかりのくに社)などがおすすめです。しかし、何といっても、一番のおすすめは、シャープ/メッツナー共著山崎直美訳『算数・数学 パズルと手品』と、コブ/ダーリング共著藤田千枝訳『科学でゲーム』シリーズです。どちらも、さ・え・ら書房からでています
科学読物研究会 根本 行雄