この本は、絵本のつくりになっていて写真やイラストが多く、文章はとても簡潔です。難しい解説が長く書いてないので、途中で読み疲れてしまうことなく、最後までどんどん読んでいくことが出来ます。
ところが、短いなかに、「太陽誕生と太陽系」・「太陽のエネルギー」・「日食」・「オーロラ」など太陽に関する情報がぎゅっと凝縮されていて、面白く読み進めるうちに「太陽」の基礎知識をちゃんと得ることが出来るのです。
例えば、「金環日食」と「皆既日食」の違いを実にシンプルにわかりやすく、見開き2ページで絵とともに解説してあって、「ああ、そうなのか」とストンと理解できます。また、夕日が沈む最後の瞬間に見える「グリーンフラッシュ」という緑色の光がなぜ見えるのかも、これ以上簡潔に説明できない程の簡潔さで、しっかり原理がわかります。この本で太陽のことがだいたいわかって、さらなる興味が湧いて来て、もっと「太陽」や「日食」のことを知りたくなったら、『太陽のふしぎ』(藤井旭著 あかね書房 2005年 1500円)、『黒い太陽のおはなしー日食の科学と神話ー』(寮美千子文 佐竹美保絵 黒田武彦天文監修 小学館 2009年 1600円)などもお薦めします。
日食観察時は、絶対に太陽を直接見ないように充分に気をつけて、信頼できる日食メガネで観察を楽しんで下さい。
科学読物研究会 市川雅子