電子顕微鏡の世界は、白黒(モノクロ)ではありますが、奥行きを持った立体感は、3Dの世界に迷い込んだようです。『ミクロの世界にズームイン!』は、身近な動植物からウィルス、日用品から結晶まで、電子顕微鏡で見たミクロの世界を350点の写真と共に解説しています。「光の波では届かぬ世界が、もし色として見えたら、どんな色なのだろう?」と想像をかき立たせてくれます。
白髪は、黒い髪と違って中が空洞だった?! カタツムリの歯舌には、小さな歯がびっしり1万本以上並んでいる?!など・・・写真を見比べながら、謎をひも解くように読み進め、ミクロの世界を探検している気分になります。
構成は、Ⅰ.昆虫 Ⅱ.動物 Ⅲ.植物と菌類・細菌 Ⅳ.日用品 Ⅴ.ミクロのらせん構造の5章です。
生物の章では、体のつくりを特徴ごとに解説し、体の構造から生き物の暮らしを伝えてくれます。「なるほど!そうだったのか」とページを止める部分もたくさんあり、写真に目を見張ります。Ⅳ.では日用品の紙や段ボールと共に、結晶構造の美しさが目を引きます。Ⅴ.らせん構造も、自然界のものからカーボンナノチューブまで、その対比が興味深い内容です。
文章には、ふりがなも付いていますが、対象は、中学生以上でしょうか。
顕微鏡を使って、自分で発見したい!楽しそうで、もっと確かめてみたい!と意欲が湧いてくる一冊です。
著者のお一人・阿達直樹さんは、都内の中学校の教諭で、インターネットに走査型電子顕微鏡の画像資料集を公開されています。合わせてご覧になるのもいかがでしょう?
科学読物研究会 青木和子