くるくる回るかざぐるまを持った女の子を肩に乗せているのが、お話の主人公のソーレン・ハーマンセンさんです。舞台となったのはデンマークのまん中にある小さな島、サムス島で、牧場や農園がある、人口4000人のごくふつうの島です。「電気や燃料の使い方だって、少し前までは、とてもふつうでした」から、電気はデンマーク本土の火力発電所から海底ケーブルでとどけられ、燃料の石油はタンカーやトラックで島へ運ばれ、それを使っていました。
ところがあるときデンマーク政府が、つかうエネルギーをすべて自前でつくる計画をたて、そのモデルとしてこの島がえらばれたのでした。ハーマンセンさんがこの計画のリーダーとして島のみんなに相談しました。「ねえ、みんな。この島でエネルギーをつくるとしたら、どうすれば良いと思う?」大人も子どももいろいろなことを考えました。たくさんの人が自然のエネルギーについて考え、いろいろなことを始めました。そして島が「エネルギーの島」とよばれ、世界中からいろいろな人が見学にくるようになったのです。
この物語は大事なことを教えてくれます。「納得するまでみんながよく話し合ったこと」がうまくいった秘訣です。この島が特別なのではなく、「地球は、宇宙に浮かぶ小さな島みたいなものだから、あなたがどこの国の人でも、地球という島を守るために、あなたにできることがあるはずです」という結びの言葉に深くうなずきます。?絵もお話に合うすてきなイラストです。ぜひ手に取って読んでください。
科学読物研究会 福田晴代