物語は約46億年前、宇宙に地球が誕生したところから始まります。それから長い時間をかけて地球に海ができ、海の中に目に見えないほどの小さな生き物が現れたのはみなさんもご存知のことでしょう。しかし、「骨」があることは当たり前ではなかったようです。一体、海のどのような環境が魚たちに「骨」をもたらし、海を離れ川や湿地帯で生きることを選んだ生き物にはどのような「骨」が必要だったのでしょう。そして、背骨をもつ私たちの遠い祖先はどこでどのように生まれたのでしょう。
本書は、優しい色合いの絵と語りかけるような文章で、背骨が生まれた過程や、骨がカルシウムの貯蔵庫になった理由をやさしく教えてくれます。やがて背骨を持った生き物が本格的に陸に上がると、重い体を浮かせてくれていた水がなくなり、骨はこれまで以上に体をささえる役割を担っていきます。骨の進化は環境の変化に対応してきた生き物の進化そのものなのです。
この長い骨の旅は壮大なひとつの物語のようでもあり、読み終えた後には昔の生き物と自分たちとのいのちのつながりが強く感じられるでしょう。ぜひ皆さんもながいながい骨の旅に出かけてみてください。文字数が多いページもありますが、未就学児から親子で一緒に楽しめます。
(科学読物研究会 栗野理紗子)