日本には45種類のサンショウウオが生息しているそうで、この本は全種類を写真で紹介しています。見返しに全45種類のサンショウウオが勢ぞろい、黒っぽいの、赤っぽいの、まだら模様のや、尾が平べったいのやら細いのやら、壮観です。もちろん国の特別天然記念物のオオサンショウウオも載っています。
まず、サンショウウオとは両生類で、水と陸の両方の環境がないと生きていけないということが書かれています。そしてゼリーのようなものに包まれている卵、えらが頭の後ろに突き出てフワフワして愉快な顔のオタマジャクシ、天敵と食べものもよくわかります。
著者は子どもの頃川遊びでいつも取り逃がしていたサンショウウオを、大人になってやっとすくい上げることに成功し興味がわき、日本のどこにどんな種類いるのか調べてみようと考えました。北は北海道のエゾサンショウウオから、南は鹿児島県の大隅半島のオオスミサンショウウオまで詳しく載っています。南西諸島にはサンショウウオは生息していませんが、近い仲間のイモリ科の3種が住んでいるそうです。
サンショウウオは、森林ときれいな水が湧いたり流れたりする水場に生息します。限られたとても狭い地域に暮らしているので、絶滅の危機にさらされている種も多いです。著者は森と水場の環境を守ることを考える必要性を繰り返し訴えていて、自然環境についても考えさせられる本です。
科学読物研究会 渡部美帆