チビトガリネズミと比較することで小さな世界を楽しく語っています。この小さなネズミから見るとテントウムシは小さいが、そのテントウムシから見れば、ひげの生えたスリッパみたいなゾウリムシはさらに微小な存在です。このようにだんだん小さくなり、バクテリア、原子、電子や陽子などの世界へといざなってくれます。
魅力的な絵と楽しい文に誘い込まれ、読者は実際にその世界にいるような気分になります。たとえば「もしきみがテントウムシだったら、そりゃもう、いやになるほど小さいって気がするだろうな。なんせ、水たまりにうかんだはっぱだって、きみにとっては、みずうみにうかんだボートとみたいなものなんだから。」などの文章です。
この世界のものすべてが原子でできていると語り、最後には、だからこんなに小さいチビトガリネズミも、ものすごい数の原子で出来ているのだと締めくくります。
実際の大きさを知りたい方に、かこさとしさんの『小さな小さなせかい—ヒトから原子(げんし)・クォーク・量子(りょうし)宇宙(うちゅう)まで』(偕成社)をおすすめします。ページごと1/10の世界とだんだん小さな世界になり、縦と横にスケールがついているので、そこに描かれたもののサイズがわかります。
科学読物研究会 平井 崇子