エネルギーという言葉はよく聞くけれど、その正体を知っていますか。体を動かしたり、考えたり、何をするにもエネルギーが必要ですが、いったいエネルギーってなんでしょうか。
目には見えないエネルギーというものを説明するのはちょっとむずかしいですが、この本では、小さな子どもに分かるようにできるだけ身近な話でエネルギーを説明しています。「バットをふってボールを打つとき、エネルギーは腕からバットへうつり、バットがボールに当たると、エネルギーはバットからボールにうつり、ボールが飛び出します」というふうに。「エネルギーはものをあたためたり、かがやかせたり、音を出したりできます。」というのはそれぞれ、熱エネルギー、光エネルギー、振動エネルギーのことです。このようにエネルギーはいろいろな種類があります。
燃える時にエネルギーを出すものを燃料といい、車が走る時の燃料がガソリンです。わたしたちの体をうごかすときもエネルギーのもとになるものがたべものです。たべものはそれ自身ではうごいたり、光を出したりもしないけれど、からだの中でエネルギーになるのです。エネルギーはいろいろな形に変化するのですね。
太陽からのエネルギーが植物を育て、その植物を動物が食べて、私たちはその植物や動物を食べているのだから、私たちの体をつくったり動かしたりする、おおもとは太陽のエネルギーということになります。また、ガソリンは石油から取り出しますが、石油や石炭などは化石燃料といって、大昔の植物や動物が死んだものから長い時間をかけてできたもので、その植物や動物も太陽のエネルギーをつかって育ったり、動いたりしたのです。
わたしたちは毎日の生活でたくさんのエネルギーを必要としており、エネルギーがなければ何もできません。けれどもエネルギーのおおもとの太陽は、とてもたくさんのエネルギーをあたえてくれ、太陽があるかぎりエネルギーはなくなることはありません。
著者のキンバリー・ブルベイカー・ブラッドリーさんは、化学の研究者でしたが、児童書の執筆で子ども向け優秀科学作品賞を受賞しました。訳者の山地憲治さんはエネルギー学者で、専門は地球温暖化問題やエネルギー問題に関するモデル分析の研究者です。
科学読物研究会 福田晴代