この本は、いたずら博士の科学だいすきシリーズの一冊であり、「虹と光」に関する仮説実験授業の授業書を基に編集されたものです。
「虹を見たことがありますか?」に始まり、「虹の色の数は?」「順番は?」、更には「虹は生きもの?」といった設問が続きます。
いずれの問いも、各自がたてた「予想」を述べあってから、「実験」で確かめるという構成になっており、科学的にものを見る目、考える力を知らず知らずのうちに楽しく身に着けられるように工夫されているのが特徴です。
虹の作り方のコツだけでなく、丸い虹の作り方も紹介されており、すぐにやってみようという気持ちになること請け合いです。
また、西暦1300年頃に、虹を研究したドイツの学者であるデイートリヒが行った丸底フラスコを使った実験が紹介されており、フラスコの位置を少しずらすとまぶしい点の色が変化する原理が説明されています。
その説明の後に、ニュートンが発見した虹が見える仕組みの説明があるので、これまで理解できなかった方も、虹とフラスコの実験が結びついて、「そうか、そういうことだったのか!」と理解できると思います。
巻末には、数ページに渡って、「虹は7色か6色か」に対する板倉氏の解説があります。実際には7色には見えないのに、7色と教えられてきたナゾに迫ると同時に、日本の科学教育における問題点が提起されています。
子どもだけでなく、大人も興味深く読める一冊です。
科学読物研究会 藤高信男