この本は、美しい写真や分かりやすい図表がたくさん使われています。水の
固体としての状態である雪や氷が、さまざまな形に変化する成長過程や、どう
してそのような形になっていくのかが、よくわかります。
第一章は「雪のひみつ」。最初に、水が固体、液体、気体、と状態変化するこ
とと、小さな氷晶が美しい雪の結晶へと成長し、雪が降るしくみなどの説明があります。雪はその時々の気象条件や内外の水分量によって、積もり方も異なり、降ったり止んだりを繰り返しながら刻々と変化しつづけています。積雪は、くっつきやすい性質があるため、「雪まくり」のような奇妙な造形を作ります。また、大量に積もると「なだれ」や「根もと曲がり」といった大きな破壊力を持つようになることも紹介されています。
第二章は「氷のひみつ」。流れのない池や湖だけでなく、流れのある川や滝、 そして海にさえも、異なった形のさまざまな氷ができていく過程が説明されています。水は固体になると体積が増える珍しい物質です。氷ったり融けたりを繰り返すことで、氷の表面に不思議な模様が現れたり、温度差によるのびちぢみで「御神渡り」のような現象が起こったりします。氷の内部に出来る「アイスフラワー」は、雪の結晶とそっくりな六花の形をしています。家庭の冷蔵庫で氷を作り、その形を観察する方法も書かれています。
第三章では、雪や氷が固体に変化する環境のちがいで、霜や樹氷など、さまざまな形になっていくこと、霜柱や氷河などの解説、日本に雪の多い理由なども書かれています。
科学読物研究会 林和美