生物が「うまれてそだつ」ことを通して、DNAとは何かを子どもにわかりやすく伝える大判絵本です。
大人も初めて聞くような生物が次々と出てきます。養分も雨も少ない山で4000年以上も生きるイガゴヨウマツ、雨期にだけできる水たまりの中、15日で卵からかえって成魚になり産卵するターコイズメダカなど、世界中のさまざまな場所で「うまれてそだつ」生態は驚くべきものです。そして、人間もお母さんのお腹なのなかの小さな点から、子どもへ、大人へと育つ様子が描かれています。
DNAの二重らせんの形が見開き一杯に描かれていて、目には見えない小さなものの姿を具体的に見せてくれます。また、DNAのあちこちにちらばっている「せっけいしょ」によって、鼻の形、髪の毛の色、目の色が決まることも楽しい絵でわかります。ところで、いくつの「せっけいしょ」で、鼻の形などが決まるのでしょう。もちろん答えはこの本にありますよ。
生物には実に多様な種があり、似ているものも似ていないものもありますが、DNAのなかに「せっけいしょ」があることは共通しています。画面いっぱいに描かれたたくさんの生物と、博物館で展示されている古生物の絵から、全ての生物がDNAを持つという点でつながっていることがわかります。
ていねいに書かれた『いのちのもといでんし』フラン・ボークウィル/文 ミック・ロルフ/絵 柳澤桂子/訳 岩波書店 2003年もあわせてどうぞ。
科学読物研究会 坂口美佳子