物理の本と聞いてあとずさりする必要はありません。小学生低学年の子どもがいたらいっしょに読みたいなあと思ってしまうほど、やさしい色とシンプルな絵で書かれたとても読みやすい本です。「てこ」「しごと」「あつりょく」「とうしゃ(投射)」「じゆうらっか」「かんせい(慣性)」「ねつのいどう」「かがみ」「ふりょく」「ごうりょく」「でんち」「ばしょとじかん」の12個の独立したお話で構成されています。
「ねつのいどう」では火山から吹き出た岩と大雪山から転がった岩がぶつかり、熱い岩は冷たく、冷たかった岩は暖かくなってしまいます。もう岩の温度はもとには戻りませんでした。このお話は、熱は高いものから低いものにうつることを教えています。お話の続きに少し詳しい解説がついています。
子どもにとって不思議な現象に出会ったとき、そこに隠れている物事の間に起こる法則についてわかることはとても大事なことです。法則を知ると、これから起こることを予想したり過去のことを調べたりすることができるようになるのです。情緒的に自然を愛することができ、またさらにその自然の中に存在する美しい法則を理解することができたとき、子どもたちはきっと感動するにちがいありません。この本は子ども達が最初に出会う物理の本になるかもしれません。
科学読物研究会 森 裕美子