著者が若い人たちにぜひ知ってほしいと思う世界の科学者93人の功績を紹介しています。古今東西、さまざまな分野から選ばれた科学者の功績が、小学生にもわかりやすいようにイラストや写真も使って説明されてい ます。さらに、科学者の肖像もあり、活躍した時代や人柄の雰囲気も伝わってきます。文章の漢字にはルビが振ってあります。
この本で紹介されている科学者のひとりに、ドミトリー・メンデレーエフがいます。ロシアの科学者で、1869年に「元素周期表」をつくりました。彼は、元素を原子量の小さい順に並べると、性質が似ている元素が周期的に出てくることに気づいたのです。この周期表には、まだ発見されていない元素があるのではないかと空欄をつくっていました。のちに、空欄を埋める新しい元素が発見され、この周期表の価値が評価されるようになりました。今年はメンデレーエフが周期表をつくって150年の節目の年です。メンデレーエフの作った周期表には元素が60ほどしか書かれていませんでしたが、2016年に日本で初めて発見された元素ニホニウムは、原子番号113番です。
他に紹介されている科学者は、紀元前5世紀に活躍したデモクリトス、20世紀にノーベル賞を受賞したアインシュタイン、日本人の関孝和、長岡半太郎、新幹線の生みの親の島秀雄などさまざまです。発見がすぐに評価された人、2000年後に見直された人、他の国で評価された人もいます。普段の生活の中の気づきは科学の第一歩ということがわかる本です。
科学読物研究会 樅木輝美